Meet the Editor:
中島 医師

Dr Kei Nakashima has been the Director of the Department of Pulmonology at Kameda Medical Center since 2018, where he specializes in pulmonology and lung diseases. He is also an external researcher for Osaka Metropolitain University and Associate Editor of Human Vaccines & Immunotherapeutics Journal. Dr Nakashima is a strong advocate for learning and regularly contributes to the dissemination of knowledge to early career doctors and researchers through the hospital’s website, blogs, and social media channels. 

Dr Nakashima’s focus centers around the 3 pillars of medical practice, education, and research. As testament to his expertise, he was awarded ‘Best Teacher at the Pulmonology Department” seven times (2013-2017 and 2022) by residents of Kameda Medical Center and selected as Best Doctors in Japan™ 2022-2023 in the area of Pulmonology by Best Doctors Japan. One of his research projects was also cited by the international guideline of Centers for Disease Control and Prevention. 

This interview is available in English. Click here to read.

まずは自己紹介をお願いいたします。ご自身、そして現在の研究拠点について簡単にご説明をお願いします。

私は,日本の九州福岡県出身です.現在,亀田総合病院呼吸器内科の主任部長,亀田総合病院の内科チェアマンを務めています.私は九州大学医学部で医学士を2006年に取得し,大阪公立大学大学院医学研究科公衆衛生学にて医学博士を2023年に取得しました.日本呼吸器学会,日本感染症学会の専門医・指導医として活動しています. Human Vaccines & ImmunotherapeuticsのAssociate Editorを2019年から務めています.  

重点的に研究されている分野について簡単に説明してください。

呼吸器内科の臨床,教育,研究に取り組んでいます.呼吸器内科の診療は,喘息,COPD,肺炎,間質性肺炎,肺癌など呼吸器内科全般を診ています.教育においては,亀田総合病院で若手医師の教育に取り組むとともに,臨床呼吸器教育研究会(Clinical Respiratory Association for Training and Education:CREATE)の代表世話人を務め,定期的にWebセミナーを行っています. 

臨床研究は呼吸器感染症領域に取り組んでおり,特にワクチン,ニューモシスチス肺炎が主体です.ワクチンについては,インフルエンザワクチン,肺炎球菌ワクチン,COVID-19ワクチンの免疫原性や有効性を評価する研究に取り組んできました. ニューモシスチス肺炎については,診断から治療方法まで幅広く研究を行っています. 

中島 医師 
中島医師と亀田総合病院呼吸器内科のチーム 
Dr Nakashima teaching the state-of-the-art pulmonary medicine to a young doctor
若手医師に教育を行う中島医師 

この分野に関心を抱いた動機は何でしょうか。また、なぜこの分野が重要なのでしょうか。

呼吸器内科では,急性期から慢性期,感染症から膠原病,悪性疾患まで幅広く診療し,患者を全人的に診療できるのが魅力です.そして,私が臨床研究に取り組んでいるワクチンは、呼吸器感染症の予防において最も重要な手段です.特に高齢者や基礎疾患を持つ人々にとって意義が高く,このような集団が,呼吸器感染症を発症すると,重篤な合併症や死亡リスクがあります.よって,ワクチンによる発症予防,重症化予防は極めて重要です. 

どのような経緯で『Human Vaccines & Immunotherapeutics』のAssociate editorになられましたか。また、Associate editorとしての日頃の役割について簡単にお話しいただけますか。

Editor in chiefのRonald Ellis先生から,Associate editorの任を依頼して頂きました.2018年に私がHuman Vaccines & Immunotherapeuticsで出版させていただいた「高齢者における23肺炎球菌と4価インフルエンザワクチンの同時接種の免疫原性と安全性:無作為化オープンラベル非劣性試験」という論文が多くの閲覧数を獲得させていただいたことを評価頂いたのかなと感じております.この研究は,世界で初めて23価肺炎球菌ワクチンと4価インフルエンザワクチンの同時接種の免疫原性と安全性を報告する論文となり,米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention :CDC)の米国の予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)のインフルエンザに関する勧告に毎年引用して頂いております. 

日々の業務としては、初期は論文の査読を担当しておりましたが,最近はHandling Editorとして査読プロセスの管理が主な仕事になりつつあります.具体的には、投稿された論文がジャーナルの方針やスコープに適しているか初審を行い,適している場合は専門の査読者に依頼します.査読者からのフィードバックと著者からの修正が行われた後,最終的な判断を下して論文が掲載されるかどうかを編集長とともに決定します.このような業務を通して,Human Vaccines & Immunotherapeuticsで質の高い研究が広く公開されるプラットフォームを提供する役割を果たしたいと考えています.

医学の将来についてどのようにお考えですか?COVID-19のような予期せぬ集団感染予防に対しての医学研究体制はどの程度重要だとお考えですか?

未来の医療においては、個々の患者に合わせた個別化医療の進展が非常に重要だと考えています。将来的には,ゲノム情報や人工知能技術を活用し、個々の患者に適した治療法を提供することができる可能性があります.また,テレヘルスやリモートモニタリングの進展により,より多くの人々が質の高い医療サービスにアクセスできるようになると予測しています. 

その一方で、COVID-19のような大規模な感染症の発生が、医学研究体制の重要性を如実に示しています.グローバリズムが進んでいることもあり,パンデミックが起きた場合に,研究が急速に進展しなければ、今回のCOVID-19のパンデミックのように,新たなウイルスや耐性菌による感染が世界的に拡大し制御不能になる危険性があります。この点において,迅速かつ包括的に,基礎研究から臨床研究までを有機的につなぎ,エビデンスを創出する医療研究体制が非常に重要です. 

呼吸器の健康に関して、読者に伝えたい重要な情報はありますか?また、肺の健康を効果的に維持するために注意すべきことはありますか?

Human Vaccines & Immunotherapeuticsは,ワクチン学と免疫療法に関する国際的な研究を掲載している専門誌です.この雑誌はInternational Society for Vaccines(ISV)と提携しており、ワクチン学と免疫療法の進展を発表し、議論するプラットフォームを提供することを目的としています.掲載されるトピックは、新しいワクチンと免疫療法の研究開発、実験的なワクチンと新しいアプローチ、非感染性疾患(例えば、癌)に対するワクチンと免疫療法、前臨床研究と臨床試験、認可された製品とその実用化、認可されたワクチンと免疫療法の疾患への影響、ワクチンの安全性と認識、発展途上国における予防と治療、疫学と薬剤経済学など多岐にわたります. 

呼吸器疾患としては,呼吸器感染症のワクチン,例えばインフルエンザワクチン,肺炎球菌ワクチン,COVID-19ワクチン,RSウイルスワクチンなどの重要なワクチン研究の論文が多く掲載されています.呼吸器疾患を基礎に有する患者においては,これらのワクチン接種は診療において重要な位置づけを示します.例えば,COPD患者に対しては,インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種が強く推奨されます.呼吸器感染症はCOPD増悪の主たる原因であり,COPD増悪を起こした患者は,呼吸機能低下,生活の質の低下,入院による医療リソースの消費をもたらします.肺癌患者においてもこれらのワクチン接種は重要です.肺の健康を維持するために,呼吸器感染症に対するワクチン接種は最も重要な医療の一つです. 

研究者に『Human Vaccines & Immunotherapeutic』への投稿を推奨する理由を教えていただけますでしょうか。

Human Vaccines & Immunotherapeuticでは,ワクチン研究,免疫療法を専門とする質の高いレビュアーの査読を受けることができます.査読は論文の質の向上において非常に重要です.また,オープンジャーナルですので,多くの人に論文を届けることができます.インパクトファクターも4.8(2022年)と高く(Q1 Best Quartile),上昇傾向にあります.Human Vaccines & Immunotherapeuticで論文を出版することで,質の良い形で研究を報告することができ,注目を得て,多くの人に読んで頂ける可能性があります. 

この分野に取り組もうとしている(取り組んでいる)若手研究者に対してアドバイスをいただけますか。

早期キャリアの研究者の皆様にとって、研究を継続することは非常に重要です。特に、新しいワクチンや免疫療法の開発は日進月歩ですから,最新の研究と常に連動している必要があります.また,質の高い研究論文を読みながら、自らの研究を積極的に発表する場を探すことが大切です.例えば、Human Vaccines & Immunotherapeuticsのようなインパクトファクターが高く,質の高い査読を受けられる専門誌に投稿することで,自らの研究が広く認知される機会も増えます.さらに,国内外の学会に参加して,他の研究者や専門家とのネットワークを広げ,多角的な視点やスキルを身につけることも推奨します. 

このような取り組みを継続することで、自らの研究やキャリアを次のレベルに引き上げることができるでしょう.最後に、仕事が忙しくても、研究に対する情熱を持ち続けることが何よりも重要です.研究は時間と労力がかかるものですが、それだけの価値があります.しっかりと基盤を築いて,一歩一歩確実に前進していくことが、長い研究生活で成功を収める鍵となるでしょう. 

中島医師と呼吸器感染症臨床研究チーム 

About the Journal

Human Vaccines & Immunotherapeutics publishes international research into vaccinology and immunotherapy, including novel and experimental vaccine exploration.

Human Vaccines & Immunotherapeutics is affiliated with the International Society for Vaccines (ISV).

The aim of Human Vaccines & Immunotherapeutics is to provide a platform to present and discuss developments in vaccinology and immunotherapy. The journal covers the following topics:

  • Research and development of novel vaccines and immunotherapeutics

  • Experimental vaccines and novel approaches in vaccination and immunotherapy

  • Preclinical studies and clinical trials

  • Licensed products and their use in the field

  • Impact of licensed vaccines and Immunotherapeutics on disease